漫画 伊藤千代子の青春 - ワタナベ・コウ - 小説・無料試し読みなら、電子書籍・コミックストア ブックライブ
戦争反対、民主主義を求めることが犯罪とされた時代。貧困と社会の不平等を目の前に、なんとかより良い社会に変えたいとのやむにやまれぬ思いから起ち上がり日本共産党に入党。 一九二八年の三・一五事件で検挙されるも、不屈にたたかいぬき「こころざしつつたふれし少女よ…」と詠われた若き女性の人生を描く。 〈目次〉 第一章 貧しき人々の群 第二章 社会の不平等への怒り 第三章 戦争や貧困の本質 第四章 起ち上がる女工たち 第五章 身命を賭してたたかわん
本書は、2005年に著者藤田廣登さんが学習の友社より出版した著書を元に、漫画家のワタナベ・コウさんが漫画にした作品である。主人公の伊藤千代子は、歌人土屋文明の諏訪高女時代の教え子で、千代子の聡明さに将来を期待されていた。決して裕福でない生活の中で、学業を重ね、東京女子大学に入学する。そして、女工哀史などの貧困と格差を目の当たりにし、社会科学に触発され、「空想から科学へ」、「共産党宣言」、「資本論」などの社会科学の学習会を組織し、自己学習も通じて、資本主義による搾取の仕組みや帝国主義、戦争の矛盾、男尊女卑など、今で言うジェンダー平等にも目覚めていく。大学卒業を目前に結婚し、学業から社会変革に傾注し、1928年の三・一五大弾圧で検挙される。獄中での厳しい拷問にも耐え、狭い独房の中でも、獄中の仲間を励まし、学習を重ね、出獄後の社会変革を夢見る。しかし、特高警察の拷問と夫の思想変節という二重苦の中で、拘禁神経症を発症し、松沢病院に入院し急性肺炎でわずか24歳の生涯を閉じる。 巻末には、「日本の侵略戦争に反対して弾圧された唯一の政党 日本共産党は2022年に創立100周年を迎える 千代子らが身命を賭して灯した平和と民主主義の火を消してはならない 私たちは生きる権利をもっている さあ生を愛するうたをうたおう」と締めくくる。